「納骨は家族のみでしてもいい?」
「家族のみの納骨ってどうするの?」
納骨は、故人の遺骨をお墓に埋葬することです。
これまでは家族と親族とで納骨はされてきましたが、昨今は家族のみで行われるケースも増えて来ました。
しかし、故人を供養する納骨式は、家族にとって重要なイベントのため、親族や親しい人を呼ばない場合には、周囲からの理解が得られるかを心配される方も多いでしょう。
本記事では、納骨を家族のみで行う方法や注意点について解説しています。家族だけの納骨式の適切な進め方、服装や香典についてのマナーについても解説するので、最後までご覧ください。
目次
納骨とはお墓などに遺骨を埋葬すること
納骨とはお墓などに、遺骨を埋葬することです。
人が亡くなると火葬され、骨壺に入れられて自宅で保管されます。
骨壺は、四十九日の法要時に納骨されることが一般的です。
しかし、納骨するタイミングに決まりはありません。
納骨の時期は、ご家庭の事情により異なり、早い場合であれば火葬当日に納骨されることもあります。
また、百箇日や1周忌の法要などに合わせて行われることもあり、遅くても3周忌までに納骨することが望ましいとされています。
これまでの納骨は、親族も集まる回忌法要に合わせていたため、家族や親族一緒に行われることが一般的でした。
納骨するときには、納骨式という法要が行われます。
納骨式では、僧侶による読経が行われ、会食なども設けられていました。
しかし、ライフスタイルやお墓に対する考え方の変化から、親族を呼ばない、読経も行わないという家族だけの納骨をする家族が増えてきています。
納骨先のお墓は主に5種類
遺骨の納骨先は主に5種類あります。
これまでは、納骨といえばお墓のイメージが強いですが、実際は納骨先の選択肢は増えています。
希望に沿ったお墓を見つけるため、違いを理解しておきましょう。
寺院墓地・霊園
寺院墓地は寺院が管理しているお墓です。
その多くは、寺院の敷地内にあります。
霊園は、公営、または宗教法人や宗教法人から運営委託された民間企業が管理している墓地のことです。
墓地の管理者は異なりますが、もっともなじみのあるお墓といえるでしょう。
「永代使用権」と呼ばれる墓地にお墓を建てる権利を購入し、墓地や霊園の一区画に墓石を建て、故人の遺骨を埋葬します。
このお墓は、家族のみが入れるお墓であり、子孫が代々継承していくものです。
しかし、現代はお墓の後継者不足により、家族のお墓を持たず、管理者に供養や管理してもらう「永代供養墓」を選択するケースも増えてきています。
合祀墓
合祀墓とは、複数人の遺骨を一緒に埋葬するお墓のことです。
血縁関係のない他人と、骨壺で遺骨を区別したりもせず、供養塔に納骨されます。
供養塔とは、故人を供養するために建てられる石造りの塔のことで、遺族はお墓参りの際はその塔に向かって手を合わせます。
個別のお墓を建てる必要がないため、最も費用がかからない納骨方法です。
しかし、合祀墓は家族だけのお墓でないことや、供養塔にお参りすることに抵抗がある人もいるため、納骨先に選ぶときには周囲の同意を得るようにしましょう。
納骨堂
納骨堂は、骨壺を保管する施設のことです。
一般的なお墓のように管理したり、お墓を継いだりする人が必要ないため、利用者が増えている納骨先です。
現代人のニーズに合わせたプランが多くあり、費用は施設によって異なりますが、お墓を建てるより費用はかかりません。
屋内にあるため天気を気にせずにすむことや、便利な立地でお参りしやすいなど、利用しやすい環境が用意されています。
樹木葬
樹木葬とは墓石の代わりに、樹木を植えてその下に遺骨を納めます。
自然回帰を希望する人に人気のある納骨先です。
遺骨の扱いは、骨壺を利用する場合と骨袋に入れて土に帰す場合があります。
施設によって異なるため、詳細は確認するとよいでしょう。
散骨
散骨とは遺骨を粉骨して、故人が希望した場所や縁のある場所に撒くことをいいます。
海に撒く海洋葬や、山に撒く散骨などが知られていますが、宇宙に撒く宇宙葬という散骨方法もあります。
散骨する場所に規定はありませんが、人が多い場所を避けるなどの注意は必要です。
散骨場所の周辺住民とのトラブルを避けるために、専門の業者に依頼することもできます。
納骨は家族のみでしてもよい
そもそも納骨は家族のみでしてもよいのだろうかと心配される方もいるでしょう。
納骨に誰が参列するかの決まりはありません。
これまでの納骨式は回忌法要と一緒に行われることが多かったため、家族だけでなく親族が参加することが多かったのです。
そのため、親族と一緒に納骨するのは一般的だと考えられていますが、納骨を家族だけでおこなっても問題ありません。
納骨を家族のみで行う方法
納骨を家族のみで行う方法を解説します。
家族だけで納骨する場合、僧侶による読経も省略することもあります。
読経を依頼するかしないかで、当日の流れが変わるので初めに決めておきましょう。
では、読経がある場合と読経がない場合の納骨の流れについて解説します。
読経がある納骨の流れ
僧侶に読経してもらう場合の納骨の流れを解説します。
まず、当日までの流れは下記のとおりです。
- 僧侶に読経の依頼をする
- 僧侶と墓地管理者で日程を決める
- 石材店を手配する
読経を依頼する僧侶に納骨式をすることを伝え、墓地の管理者と日程を調整します。
納骨式の日取りが決まれば、石材店を手配します。
墓石を移動してもらうために、石材店に依頼しておきましょう。
次に当日の流れです。
- お墓に集合する
- 僧侶に読経してもらう
- 遺骨を納骨する
- 僧侶に再度読経してもらう
- お焼香とお供え物をする
- 僧侶へお布施を渡す
- 会食(行う場合のみ)
お墓に集まった参列者は、僧侶による読経を聴きます。
読経の後に遺骨が納骨されます。納骨が終わった後、再び僧侶による読経が行われます。この読経は、故人の供養や冥福のためのもので「納骨経」といわれます。
お焼香とお供え物をし、僧侶へお布施を渡して墓地での法要は終了です。
この時、僧侶が遠方から来られた場合は「御車代」、納骨後の会食に参加されない場合は「御膳料」をお布施とは別に渡します。
納骨式の後には会食が行われることもあります。この場は、参列者が集まり、故人を偲びながら、思い出話や笑い話を交えながら食事を楽しむ場です。
読経をせずに納骨する流れ
次に読経をせずに納骨する流れを紹介します。
菩提寺がある場合には、読経をお願いしないと失礼になるのではと心配になりますが、事前に住職に報告しておけば問題ありません。
また、お寺にあるお墓でない場合でも、管理者へ納骨の日程を報告しましょう。
石材店に依頼する場合、指定の業者があるかもしれないからです。
トラブル防止のためにも、お寺とお墓の管理者へ、納骨をすることを伝えましょう。
また、親族にも家族だけで納骨する意向を伝えておきましょう。
事後報告だけだと、不快に思う方もいます。
続いて、納骨する当日の流れです。
- 本堂に挨拶する(寺院墓地の場合)
- お墓の掃除
- 遺骨を納骨する
- お焼香とお供え物をする
納骨する場合、読経を依頼していなくても寺院の本堂に挨拶しましょう。
挨拶が済んだら、納骨の前にお墓の掃除をします。
まずは、草や雑草を取り除き、お墓周辺をきれいに整え、お墓石や石灯篭などを拭いて汚れを落としましょう。
掃除が終わった後は、遺骨を納骨します。
納骨が完了したら、最後にお焼香とお供え物をします。
納骨終了後は、参列していない親族へ無事に納骨が済んだことを報告します。
家族のみで納骨するときでも、墓石はとても重たくけがの原因にもなるため、石材点への手配は忘れないようにしましょう。
家族のみで行う納骨の服装
家族のみで行う納骨の服装について解説します。
一般的な納骨の際の服装は、四十九日より前か後で異なります。
四十九日より前の場合は、礼服が基本です。
四十九日より後の場合は、平服や落ち着いた色の服を選んで参加します。
家族のみで行う場合には、平服でも問題ないとされていますが、普段着ではないため
あまりカジュアルなものは選ばないようにしましょう。
・男性:黒やネイビーのスーツ
・女性:黒や地味な色目のワンピースなど。ストッキングは黒が適切。
案内状に服装の指定があれば従いましょう。
また、参加者の服装の格式はあわせる必要があるため、事前に打ち合わせておくとよいでしょう。
家族だけで納骨する際に必要なもの
家族のみで納骨する際に必要なものについて解説します。
前もって準備しておかなければ納骨ができなくなるため、必要なものを把握しておきましょう。
なかでも埋葬許可証・墓地使用許可証がないと納骨ができません。
事前に必ず用意しておきましょう。
彫刻代
彫刻代とは、墓石に戒名や没年月日などを彫ってもらう費用で、石材店に依頼します。
文字数が多くなるほど費用は高額です。
お布施
お布施は、納骨のときに読経をあげてもらった僧侶に渡す金銭のことです。
感謝の気持ちで渡します。
納骨の後に会食の場を設けるのですが、辞退された場合は御膳代、遠方から来てもらった場合には御車代も渡します。
僧侶に渡す金銭は、ひとつの封筒にまとめず、それぞれ包むようにしましょう。
納骨時に読経を依頼しない場合は、僧侶を呼ばないため必要ありません。
埋葬許可証・墓地使用許可証
お墓に遺骨を納めるためには埋葬許可証と、墓地使用許可証が必要です。
埋葬許可証は遺骨をお墓に納骨する許可証で、墓地使用許可証は遺骨を新しいお墓に納骨する許可証です。
埋葬許可証は、火葬場で渡される「火葬許可証」のことなので、なくさないように注意しましょう。
墓地使用許可証は、墓地を使用するための許可証で、墓地の管理者から発行されます。
納骨当日はいずれも忘れないように準備しておきましょう。
塔婆
塔婆は「卒塔婆」ともいわれる仏塔の形をした縦長の木板のことです。
戒名、命日、経文などが書かれていますが、依頼する寺院によって内容は異なります。
また、塔婆は故人の追善供養のために用意されますが、宗派によって取り扱いが異なります。
浄土真宗の教えでは必要ないため、故人の宗派を確認して準備しましょう。
お供え
お供えは、納骨だけをする場合と、開眼法要を一緒にする場合で異なります。
家族のみで納骨をする場合は、故人が好きだったものをお供えに選ぶとよいでしょう。
一般的にはお菓子や生花、お餅、お酒などですが、お酒は禁止している墓地があるため事前に確認しておくとよいでしょう。
家族だけで納骨するときの注意点
家族のみで納骨を行うときの注意点を紹介します。
親族を呼ばずに納骨することに問題はありませんが、まだ一般的とはいえません。
そのため、関係者に配慮する必要があります。
また、家族だけで納骨をする場合でも、墓石を動かすなど危険が伴う場面は専門の石材屋に手伝ってもらうようにしたほうが良いでしょう。
家族や親族に了承を得る
納骨式を家族だけで行う場合には、必ず家族や親族へ前もって伝えておきましょう。
納骨式に呼ぶ人の決まりはありませんが、親族の中には当然のように参列するつもりの方がいるかもしれません。
地域の慣習などにより、故人の供養に関する考え方は様々です。
あらかじめ断りを入れておくと、気分を害することもないでしょう。
また、納骨終了後には、つつがなく済んだことやお礼の葉書を出すようにしましょう。
寺院や墓地管理者へ報告
僧侶による読経をしない場合には、菩提寺の住職に報告しておきましょう。
納骨式に菩提寺に読経の依頼をしないことは、本来失礼に当たります。
そのため、事前に報告していればよいのですが、何も伝えないまま納骨することは礼を失する行為だといえます。
また、墓地管理者へも納骨することを報告しておく方が良いでしょう。
石材店については後述しますが、墓地の管理者と特定の石材店が提携しているケースはよくあります。
そのため、管理者に断りなく石材店に依頼してしまった場合、トラブルに発展するかもしれません。
家族だけで納骨する場合でも、寺院や墓地管理者への報告も怠らないようにしましょう。
石材店に依頼する
家族だけで納骨する場合でも、石材店に依頼はしましょう。
納骨するときには墓石を移動させなければなりません。
墓石の重さは、100kgを超えるといわれます。
家族だけで動かすには危険な重さです。
けがや墓石の破損を防ぐためにも、納骨の際は石材店を利用しましょう。
家族でも香典は必要
家族間であっても香典は必要です。
香典は、霊前に供える金銭のことです。お悔みの気持ちを表すものなので、用意しないことはマナーに反してしまうため、注意しましょう。
納骨は家族のみでしても良いが、周りの人への配慮を忘れないようにすることが大切
家族のみで行う納骨について解説しました。
納骨式は家族のみでしてよいのですが、まだ一般的とはいえないため、周りに配慮した行いが大切です。
親族や関係者の故人を思う気持ちを考えたうえで、家族だけの納骨式を行うようにしましょう。
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